文章1 我が家の庭には石垣があり、ささやかな家庭菜園もある。そこの管理は妻にゆだねてあり、彼女は「刈っても刈ってもまたすぐに生えてくる」(51)と困った顔をしながら、毎年雑草と格闘している。ある日、その様子を見ながらふと考えた。もしわれわれが砂漠に住んでいたらどうだろう。どんな植物でもかまわないから、たくさん生えてくれることを望むだろう。植物が生えれば、そこには水があり、それを食べる動物がいる。人の命を支えてくれる源があるのである。 考えてみれば、刈っても刈っても雑草が生えてきて困るということは、そこには